3人が本棚に入れています
本棚に追加
二日目
顔に刺さったのは朝日ではなく、冷水だった。慌てて飛び起きる。
豪雨だ。
急いで起き上がり、雨宿り出来そうな木の下に駆け込む。
体は長く雨にさらされていたようだ。全身、夏場とは思えないほどに冷えきっている。
寒かったが、暖まる術はもちろんない。なぜ気がつかなかったのだろう。
葉を滴り落ちる雨粒が、私の少ない体力を吸い取っていく。
私は早く止むことをひたすら祈るしか無かった。
広大な森のなかにただ雨の音だけが響く。
雨は幸いにして、一時間程で止んだ。だが、ただでさえ弱っていくばかりの、私の心と体を痛め付けるには十分すぎた。
腹が大きく鳴る。冷えは昨夜の団栗と共に私の腹を荒らしていた。慌てて道の傍らで出すものを全て出す。体力と水分をすべて使い果たした気分だ。
なにもしたくない。木の下でじっと丸まっているのがすごく落ち着く。
冷えた地面に鉛色の空。ふと、家が恋しくなった。
最初のコメントを投稿しよう!