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究極の生命体?
2026年。
人類は、ついに究極の新しい生命体(?)を手に入れようとしていた。
「い、良いんですか、『Gさん』、本当に」
一人の老人が、十数人の白衣の男たちに囲まれて、手術台の上で大の字になっている。
みんなから、「Gさん」と呼ばれているが、実はこの男。
人類史上最高と言われた超が一兆個付く天才科学者だ。
「バカタレが! 何度言わせるんぢゃ! ワシが最強になるんぢゃ! ワシ以外にこのサイボーグ手術に耐えられる人間はおらんのぢゃ! 人類を、『あの危機』から救えるのは、わしだけぢゃ!」
白衣の男たちは、顔を見合わせた。
(全く、このワガママGさんのために、何でこんな手術しなくちゃあならねーんだ)
(ああ、その通りだ。下手すりゃ、殺人罪に問われるっていうのに、気楽なもんだぜ)
互いのアイコンタクトで、その「被害者ぶり」を語り合った。
全員が、迷惑そのものという渋い顔つきだ。
なぜならー。
Gさんこと、兵頭一虎という男の脳を、隣に横たわっているロボットの体に移植しなければならないのだ。
つまり、生身の男の頭蓋骨を、生きたまま切開し、その脳細胞を死滅させずに、取り出すという極めて難解な手術を成し遂げなければならない。
必然的に、兵頭の肉体は、滅びる。
SF風に言えば、兵頭一虎がサイボーグとして生まれ変わるのだ。
しかも、この前代未聞の試みは国家プロジェクトとして採用されている。
名付けて、プロジェクト「G」の始動である。
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