【漫画】依存の楔

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【漫画】依存の楔

BL漫画です、が、とてつもなく深い、ので、すべての人におすすめです。 akabekoさんの作品です。 最近知って、めちゃめちゃハマってますが、、依存の楔。。評価分かれまくっていた作品。個人的にものすごく好きだったので、勝手に考察します。 人間心理を突いてくる素敵な作品だと思います。akabekoさんのはどの作品もそうだけども…BLの枠に収まらないというか、深い。。BLというジャンルの中で、深い人間考察をやってらっしゃる方です。いや本当に。 あともう単に好みです。絵も内容も。 以下、バリバリにネタバレ含みます。 記憶喪失のとしさんとまちの二人がメインで、その他の登場人物は居ません。 もうこれもとても良いですね。 関係性に焦点化するなら、外野は要らないのです。関係性の変化、に着目するには他者が必要とは思うけど、純粋に関係性を描きたいならガヤは不要…… で、もう内容は置いといて、私なりに考えたことを書きます。 この話の中では一貫して、 としさん=強者 まち=弱者 であるかのような客観的関係が描かれています。が、内面的にはこう。 としさん=搾取される側 まち=搾取する側 内外の多立場の逆転が起きています(と私は思います)。で、もう一つが、 まち→としさん の関係は愛 としさん→まち の関係は憎しみ (憎しみ、というのはつまり“安心できる孤独から引っ張り出そうとするまちに対する”憎しみ、ということですね!病気の部分から湧き出してくる憎しみ。多分まぁ、愛そうとするが故の憎しみなのだと、二人を見ていると思います!) というところ。そしてここで面白いのが、一見噛み合わない二人の関係は、 まち⇄としさん 強い感情 という形でまとめることができる。 ここで、まちの希望は、 “としさんに覚えていてもらうこと” なので、彼の願いはこの関係性においてすでに叶えられているわけです。他に何もないとしさんが明確に意識できる感情は、まちに向けたものなので。 で、じゃあとしさんはどうなっているかというと、心理的搾取に屈しているわけです。 そして二人きりの沼に落ちていく(akabekoさんはあとがきでまちは“孤独な暗闇から都市を連れ出した”と書いているので、私の解釈はちょっとずれているかもしれません…まあ、そうも取れるけど、こっちなのでは?と…個人的にはそう思いました)。 としさんはまちの首を締めるんだけど、これはもう完全にまちの勝利ですね。 としさんはきっとまたまちを忘れて、目覚めたとしさんを、まちはまた陥落させるんだろうなと思います。 で、じゃあこれ、としさんは不幸なのかというとそんなこともないんです。 としさんの(健康な部分の)希望は “覚えていたい” なので、忘れても何度でも思い出させてくれるまちの存在は救いだと思います。 そうするとここでまた立場の逆転が起こって、 としさん=自分が悪いと言いながらもま愛されていることに甘えて自分勝手に搾取する側(愛で返すつもりはないのに相手に愛し続けることを強要する) まち=純粋な愛を搾取される側 になります。 で、ここでバランスが取れます。 としさん主体で考えれば、としさんはまちの愛に絡めとられた可哀想な人だけど、 まち主体で考えれば、まちはとしさんの欲求を満たすために使われたかわいそうな人、というわけです。 凸凹がピタッと噛み合う。 不健康かもしれないけど、不幸ではない。 まあ、これが現実であれば、間違いなくどこかで破綻します。破綻した時はめちゃめちゃになるだろうなぁとも思います。 でも、ここまで純粋でなくとも似たような関係性って案外どこにでもあるので、創作として純化されると考えさせられますね! (それから、作中に出てくる回避性愛着障害ですが、岡田尊司さんという方が本を書いているようです。全く知りませんでした…が、概念としてはDSMの反応性愛着障害のうち回避を強く伴うもの、という感じでしょうか?) BLらしからぬBLなので、よろしければ読んでみてください! そして自分なりの解釈をしてみるのも面白いかも! ちなみに私はとしさんタイプ好きです。 善人ぶって被害者ぶって、本当は一番利己的なタイプ。作為じゃない分たちが悪い。 進撃の巨人だとエルヴィンが大好きなんですが、、それについてはまたの機会に… では、ここまで! 2020.3.3 ひなまつり
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