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「はあ!?むぐっ……」
思わず大声が出たのを、その少年が慌てた様子で俺の口をふさぐ。
「ごめんなさい、騒がないでください、ごめんなさいっ……!」
少年が小声でそうまくし立てる。
「んんんーっ!」
騒ぐもなにも口をふさがれてたら何も言えない。
「あっ!ごめんなさいっ」
そう言って、少年は手を離す。
「お前、一体むぐっ」
自分でも思った以上に声が出てしまい、再び少年に口をふさがれる。
「悠真ー!なんかあったー?大丈夫ー?」
遠くから杏那の声が聞こえる。
俺は少年の手を振り払い、
「大丈夫ー!ねずみが出てびっくりしちゃってー!」
と叫び返した。
俺は、押し入れに再び振り返り、その正体不明の少年をにらみつける。
「杏那に俺がねずみごときで驚く軟弱な男だと思われたらどうしてくれるんだ」
「なんで僕のせいなんですか!物が落ちてきたとか他にもあったでしょう!」
「……それもそうだな」
そう言って、ようやく息をつく。
それは、押し入れの少年も同じだったようだ。
小学校3.4年生くらいか。こんな子、近所にいたっけ?
高校に入ってから、部活に勉強に委員会にと忙しくなって、全然じいちゃんの家に来れなかったから、最近引っ越してきたとかならわからなくて当然だけど……
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