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少年の正体
「ごめんなさい!それだけは!話します、今度こそ話します!」
そう言って、直記が話したことはこうだ。
直記は俺のひ孫にあたる子で、つまり俺は直記の曽祖父、ひいじいちゃん。
で、そのひいじいちゃんが亡くなったそうだ。
「俺死んだの……?」
「いや、あの、ずっと先の話ですから!!僕……ひ孫が小学生になるまで生きましたから!」
死んだ年齢はどうしても教えられないとのことだが、まあ、ひ孫がいるってことはけっこうな歳だろう。
そして、直記の時代では、亡くなった人の写真を集めて『人生アルバム』を作って、葬式でスライドショーみたいに壁一面に流すのが流行っているらしい。
で、その写真の集め方が、すでにある写真を集めるのは当然のことで、プラスで……にわかには信じがたいのだが、遺族がタイムマシーンを使って故人の過去を辿って写真を集めるらしい。
「タイムマシーンが、発明された……?俺が生きているうちに……?」
「僕が生まれる前にできたよ。残された家族にとっては、亡くなった人の過去を辿ること自体も重要なイベントになることがあるよ」
「……急にため口になったな」
「あっ!ごめんなさい!ひーじいちゃんだと思ったらつい……」
「まあ、いいよ。ひ孫だもんなぁ、俺の」
「え、あ、はい、そうです……」
少年が俺の顔を見て、戸惑いを見せた。
きっと俺は悪い笑顔を浮かべていたのだろう。
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