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その日一日中、瑞希は寄せられる情報に目を通していた。しかしどれもこれも有力だと思える情報はなく、瑞希は深いため息をついた。
一番辟易したのは巧妙に偽装したデマで、こんなイタズラをしてる暇があるなら他に労力を使えばいいのにと、1人愚痴をこぼしていた。
そうして夜を迎えると、達哉からようやく電話がかかって来た。
「社長に聞いてきたよ! しぶしぶだったけど、情報を見せてくれた。で、登記簿によると現在所有者は野口周吾さん。今ドバイに住んでるらしい」
瑞希はドバイと聞いて驚いた。あれだけの豪邸を持っているし、どうやら本物の資産家らしい。埋蔵金の話も現実味を帯びてきた。
「だからなかなか連絡が取りづらいんだけど、社長が何とか取り計らってくれたんだ。ほら、追加費用の件もあるし。で、例の写真の話をしたらすごく食いついてきて、瑞希に今度会いたいから、ぜひ例の別荘へ来てくれって。追加費用の中に交通費も含んどくそうだよ」
瑞希はその金額を聞いてさらに驚いた。そして話がほぼ進んでいる。真実まであと一歩だ。
「じゃあ、野口さんから連絡が来たらまた詳細を伝えるよ」
達哉もウキウキしながら電話を切った。
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