彼と私とあの子

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 カシャッ。背後で音がする。  つい振り向いてしまう。何の音かなんて見なくてもわかるのに。  カシャッ。もう一度音がする。見つけた。私を満たす感情が悲しみから怒りに変わる。カシャッ、カシャッ。何度も何度も。何を撮ろうとしているのか。レンズはこちらに向いている。そう、この子を撮っている。どうして。  急にすべてが遠くなる。 「大丈夫ですか!?」  声が聞こえる。答えることはできない。  そのまま私は意識を手放した。
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