Once Picture

斑鳩瞬①

｢なあなあ高橋、お前は何撮んの。俺はもう決まってっけど｣
｢えー、どうしよ･･･何も決まってない･･･斑鳩くんは？｣
｢僕も決まってないよ。明日ゆっくり考えようかなあって思ってる｣
｢え〜私どうしよ･･･【二度と撮れない写真】って何だろう･･･｣

確かに、【二度と撮れない写真】って何だろう。
どんな写真を指すんだろう。
逆に【二度と撮れない写真】ではない写真はなんだろう。
｢ねぇ高橋さん、星也くん、逆に【二度と撮れない写真】ではない写真ってなんだと思う？｣
｢んー･･･机に置いたリンゴ、とか？｣
｢ってことは人為的なものってこと？｣
｢じゃあさ、例えば山の頂上で作った50段のトランプタワーとかは？｣
｢それは･･･私は【二度と撮れない写真】だと思うわ。だってそんなの次いつ出来るか分からないし｣
｢人為的なもの、とは限らないってことか？なんかよく分かんねーな･･･｣

3人は夕暮れの小さな教室で頭を抱える。
ホワイトボードに書き出してみようか、手当たり次第に撮ってみようか、などと議論しているうちに下校時間を知らせるチャイムがなってしまった。