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副会長の私は、他の生徒会メンバーと共にスマホの写真を見ていた。
女子生徒の隠し撮り写真を。
***
私が変態仲間ではないということは、ここで始めに断っておく。
「いや、やっぱ止めましょうよ。さすがにこれはマズイですって!」
「うるせぇ!! てめえは男のロマンが分かってないからそんなことが言えんだよ!!」
「そんな下賤なものは俺にも分からんが……このまま見過ごすわけにもいくまい」
今から五分前、やたらと騒がしい生徒会室に入ると、隅っこで爆睡中の<書記>根室を除いたメンバー三人が円になっていた。
「何してんの?」
「あ……」
「げっ!」
「おい何だよ『げっ!』って」
「ふ……ここでまさか汚物が紛れこんでくるとはな」
「誰が汚物だしばくぞ中二病バ会長」
「『柴山』だけに?」
ニヤニヤと笑いながらほざく蝉川がうざかったので、とりあえずそっちをしばいた。別に私が柴山じゃなくてもしばくけど。
「いってええ!! 学園のアイドルの頬をはたくか普通!?」
「『黙ってればイケメンなのに』って言われてるだけのチャラ男だろ」
「失礼な! オレは<広報>の仕事を忠実にこなしてるだけだよ!!」
「女子にナンパするついでにな」
「バカ野郎!! 仕事とハーレムならどっちを優先するかなんて明白だろ!!」
「仕事優先に決まってんだろ」
「全く……嘆かわしい。仮にも我が校の生徒会の一員がハァーレムなどと」
「…………」
珍しくない展開だがさすがに汚物呼ばわりはない。
となれば、何かあるとしか考えられない。<副会長>である私に見られたくない何かが。
「で、何があったの?」
馬鹿に聞いても話が進まないので<会計>の原田に視線をやった。
「それが、生徒会室の床にスマホが落ちてたんですよ」
「床?」
「さっき掃除してたら、あそこに落ちてるのを見つけたんですよ。ほら、根室先輩がいつも寝てる場所」
「いや何でそんなところにスマホ落ちてんだよ。しかも見覚えのないやつだし」
「僕らもそうなんですよ。根室先輩にも聞いたんですけど、知らないってさっさと寝ちゃって……」
「役立たず」
「え……っ」
「あぁ、ごめん。根室のことね」
「おのれっ、誰のか分かりさえすればここまで苦労せずに済むものを……!」
「どう見ても楽しんでんだろ。一人寝てるし」
「バカな奴だよなぁ。こんな美味しいことが起きたってのに」
(美味しいこと、ねぇ……)
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