生徒会室でスマホを拾う（生徒会室シリーズ１）

「つうかお前ら、誰のかも分からんスマホ勝手に見てたの？」
「いやさ、落とした奴が悪いんだよ。大体このスマホ、ロックとかかかってなかったし」
「ふっ、このご時世に随分と不用心な輩だ」
「それ勝手にスマホ見ていい理由にならないから」
「すみません、僕が止めようとした時にはもう……」

　中二病会長にドスケベ広報に役立たずの書記……。
　野郎共がそんな馬鹿揃いな生徒会の中で、最年少の一年でありながら唯一の常識人。それが＜会計＞原田だ。

　ちなみに<書記>と<庶務>を兼任している苦労人でもある。
　本来なら書記は根室なのだが、ここにいる時は今のように九割がた寝ているので全く使い物にならない。
　一年生に任せきりというのもあれなので、私もちょくちょく手を貸しているものの、今のところほぼ彼一人で難なく回っている。器用貧乏というと地味な印象を抱きがちだが、この生徒会にはなくてはならない人材だ。

「少なくともオレら生徒会メンバーのもんじゃねぇってのは確かだぜ！」
「尚更ダメだろ、何ドヤ顔で得意気に言い切ってんだよ」
「そもそも、俺の縄張りに落とした時点で持ち主は所有権を放棄したも同然だがな」
「お前何様だよ」
「生徒会長様だ！」
「様をつけると一気にダサくなるな」
「貴様が何様だと聞いてきたんだろうが！！」
「つーか前から思ってたけどさ、お前アニメとか漫画の影響受けすぎじゃね？」
「何？ 貴様……この俺を二次オタの萌え豚呼ばわりするつもりか！？」
「萌え豚なんていかにもなネットスラング知ってる時点でもう二次オタじゃん？」
「は――――っ！」

　バ会長がガクリと膝をつく。

「そんなバカな……何故だ、何故俺の嗜好がこうも筒抜けに……っ」
「マントとか付けてる時点でアウトだろ」

　生徒会室内限定だけど。
　そして地味に他の生徒達にもバレてるけど。

（確か、コー〇ギアス何とかってやつのコスプレだったような……）

「ぎゃはははは！！ これからは生徒会長(笑)って名乗っとくか！！」
「貴様ぁ！！ 女をナンパするしかとりえのないパリピの分際で笑うな！！」
「あの……二人とも、少し落ち着い」
「つうかお前もナンパすりゃいいじゃん」
「馬鹿者！！ 女は遠くから後ろ姿を眺めるからこそ価値があるんだ。声をかけたりしたら汚れるだろうが！！」
「はぁ！？ 遠くから眺めるだけとか何が楽しくて生きてんの？」
「喧しいわお前ら」

　私の一声で馬鹿二人が沈黙した。

「何か……すみません、柴山先輩」
「お前は謝らなくていいだろ。むしろもっとキレていい」
「いや、それはちょっと……」

　原田は善良な男だ。故にこうなるといつも馬鹿な先輩共を必死に止めようとしてくれるが、微妙に押しが弱い。一年という立場だからというのもあるだろうが。

（この押しの弱さがなければ言うことなしなんだけどな……）