異論は認めない旨

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 1949年、ある手術が医学上の高い貢献度を認められてノーベル賞を受賞した。のちに悪魔の手術と呼ばれることとなるロボトミー手術である。  その方法は眼窩(がんか)からアイスピックのような器具を刺して前頭葉の神経を切断するという想像するだけでゾッとするものだが、施術自体は比較的簡単なものであるらしい。まだ向精神薬がない時代に、それは凶暴な精神病患者を大人しくさせる手法として一時期重宝されていた。しかしその実態は副作用によって患者が別人格・廃人に変わってしまう非人道的なものであった。  今では人権の観点から禁忌とされるロボトミー手術だが、それが受け入れられていた頃からまだ1世紀も経っていない。近年ようやく騒がれ出した発達障碍に至っては未だに解明されていないことも多い。よって障碍者の人権確立はまだ途上であり、道のりは長い。
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