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そんなつい最近まで行われていた障碍者への待遇を具体的に思い起こしていただきたい。
私には『残穢』というホラー映画の、精神病患者が鎖で繋がれて監禁されているシーンが印象的だった。この映画はフィクションだが、かつての日本、いや世界中でこのような酷い扱いが当たり前に行われていたのだ。
また、私宅監置とまではいかずとも、狭い村社会では村八分のような陰湿なイジメを受けることもあっただろう。
実際に村八分に端を発し、日本を代表する凄惨な事件も起こっている(非常に残念なことに死者数において近年更新される事件が起こってしまったが)。かの有名な『八つ墓村』のモチーフにもなった、津山事件である。
この事件の犯人が村八分にされたのは障碍のためではない。当時不治の病と恐れられていた結核を患ったため、時代背景として忌避されるのはやむをえないといえばやむをえない。しかし、だからといって彼を必要以上に邪険に扱うべきではなかった。イジメや差別を受けた者の傷の深さが窺い知れるだろう。こんな仕打ちが全国各地で起こっていたのだ。
ではなぜ最近まで差別することに抵抗がなかったのに、急速に人権尊重思想が普及していったのか。答えは人類の生活が豊かになってきたからに他ならない。
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