目玉が見てる

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 お父さんは案の定、二日酔いらしく、頭痛薬と胃薬を飲んでいた。 「お父さん、寝てていいよ。私、彼氏に手伝いを頼むから」 「そうか?悪いな。やはり50代だから、お酒が次の日に残る。その代わり、買い物は付き合うよ。カーテンだとか布団を買うんだろう?」 「いいよ。大丈夫」  住むマンションから30分ほど行ったところに駅があって、その周りに大きなホームセンターがあったから、そこで必要なものは大体揃うだろう。引っ越しが終ったらそのまま行こうと思っていたから、わざわざお父さんの手間を取らせなくても、彼氏に付き合っても貰えばいいし、そのままデートじゃないけど、夕ご飯でも食べちゃいたい。 「いいよ、いいよ。今日、運びきれない分は来週取りにくる。そのとき手伝って」  寧々はそう言うと、彼氏に電話した。彼氏は「友達呼んで2人で行くよ」と快諾してくれた。友達とは会ったことがない。綺麗にメイクして彼氏が恥ずかしい思いをしないようにしなければいけない。何時もは15分くらいでササっと化粧を終わらせるのだが、今日はバッチリとメイクしよう。寧々は洗い物を済ませると2階にあがった。運ぶ時に見られて困るようなものはないが、新聞紙にくるんでからビニール袋につめた下着がちょっと心配だ。だけど、破けたりはしないだろう。そう思ってもう1度点検する。引っ越す先の町で殺人事件があったという記事が目に飛び込んで来た。そういえば数年前、外国の人が殺人を犯すという犯罪があった。こんな古い新聞、よくあったな。たぶん箪笥の下に敷いてたものだろうが、引っ越す先で殺人があったことにちょっとゾッとした。
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