目玉が見てる

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 彼氏と飯島さんが荷物を運び入れていてくれている時に同じマンションの住人に挨拶をしようと思った。ブランドのタオルを持って2階の端から訪ねる。みんな日曜日だからか家に居て、タオルを受け取って挨拶してくれた。寧々のちょうど上に住む人は若い可愛い感じの人だった。 「私、シングルマザーで赤ちゃんが居るの、煩いと思うけど宜しくね」 「いいえ、わたしも、さっき叫んでしまいました」 「ああ、この前も叫ばなかった?」 「すみません、驚きましたよね」  女の人は眉をひそめた。ちょっとアルコールの匂いがする。赤ちゃんの面倒を見ながら飲んでいたんだな。まあ寧々が咎める訳にはいかない。 「驚かなかったって言ったら嘘になるかな。だって、ここ、事件があったマンションだもの」  事件?そんなものがあったのか。確かにこの辺りは昔から何かと新聞を騒がせるが。 「何の事件でしたっけ?」 「ホラ、外国の人。連続殺人犯」  あっ、あの新聞の。そうか、ここで起こったんだ。 「ここだって知らなかった。私が住む部屋なんですか?」 「ううん、1階の真ん中の部屋」
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