目玉が見てる

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 そうだったんだ。端を選んで良かった。でも不動産屋のお兄さんも言ってくれればいいのに。まあ、部屋が違うから言う義務は無いのか。 「ここの近くにねプレハブの居酒屋さんがあるの。そこに、夜は飲兵衛たちが集まるんだけどね、私もかなりの飲兵衛で。たまに母親に赤ちゃんを見て貰って息抜きに行くの。そこで常連さんに聞いたの。3日間お風呂場に放置されていた死体は目玉が無かったんだって」  えっ、まさかの目玉。それに死体が放置?排水管って下で繋がってるんじゃなかったっけ。じゃあ、あの異臭は死臭? 「それって本当なんですか?」 「ええ、でもね、目玉、見付からないの。犯人はどうしたか自供しないんだって。でもね、噂では日本人で目玉マニアがいるんだって」  寧々はそこまで聞いて怖くなった。死体、目玉、排水、何だかとても怖い。でも女の人は酔っているし、目玉マニアなんて、どうせ都市伝説みたいなもんだ。寧々は「引っ越しが忙しいんで失礼します。今後ともよろしくお願いいたします」と言って立ち去った。
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