目玉が見てる

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 部屋に戻ると、彼氏と飯島さんはせっせと荷物を運んでくれていた。ここが殺人事件のあったマンションだなんて知らないだろう。それに彼氏の顔を見るとやはり心が落ち着く。一緒に住みたい。その為には良い奥さんになれることをアピールしたい。仕事と家事を両立して見せて一緒に住むんだ。仕方ない。殺人事件があったと知っていても、それでも、このマンションに住んでる住人も居るし、何かあったら実家に戻ってもいい。 「この本は何処にしまう?」 「ああ、段ボールに入れたまま、置いといてくれればいいから」  本棚には自分でしまえばいいし、直ぐに読む訳ではない。 「ねえ、買い物に行ったら、何処で食べる?」 「ああ、寧々ちゃんは1杯飲みたいだろう。駅の近くに海鮮居酒屋があるみたいだよ。俺さ、今日は飯島の運転だから飲めるんだ。鮪の目玉を食べながら飲みたいな?」 「えっ?」 「知らなかった?俺、目玉マニアなんだ。寧々ちゃんの目も綺麗だね」  寧々は全身に鳥肌が立った。良かった、これからホームセンターで合鍵を作って貰おうと思っていたけどそれは止めよう。嫌な予感がする。彼氏とは距離をおくことにしよう。 終わり
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