目玉が見てる

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 目の錯覚だったんだ。こんなに広くて綺麗な部屋は他には無かった。 「この部屋に決めました」 「じゃあ、書類があるんで、会社に戻りましょう」  寧々は今日中に物件を決めようと思っていたので、印鑑や通帳は持って来ていたし、勿論、車で来たので免許証も財布に入っている。住む予定の場所から今住んでいる場所は1時間以上も掛かるので、足りない書類は今度の土曜日に持ってくるとして、手続きが終われば3月に入ってからマンションに住むことが出来るらしい。家賃7万はちょっと大きいが、彼氏を家に呼んで家庭的なことをアピール出来るチャンスだし、彼氏は寧々が一人暮らしすることを望んでいる。何故だか理由は言わないが、そんな感じがしてならない。でも、確かに、そうすれば将来ここで同棲に発展出来るかもしれない。寧々は片親で父方の祖母はいるが、親は父しか居なかったから家事は全般こなしていた。お父さんとお祖母ちゃんだけ置いて家を出るのは酷じゃないかとみんなは言うと思うが父には近所の定食屋のオバサンが彼女になってくれて一緒に住むという話になったらしいので私は邪魔な存在になる。
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