目玉が見てる

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 寧々の彼氏は40歳だ、寧々が28歳なので、年の差がある。でも、素直でキラキラした目を持った少年のような人だ。ユーモアもあって何時も寧々を笑わせてくれる本当にいい人だ。頭はちょっと薄くなっているが40歳なのだから仕方ない。体格はジムに通っているからかガッチリしていて、背も180センチくらいはある。  彼氏は寧々が勤める会社で同じ部署に所属いている。製造部の生産技術課、そこの課長だ。もとは現場で働いていて勉強して設計士になったんだという。だから設計畑を歩んで来ただけの寧々とは違う。寧々はパソコンの中で操作する3次元の世界や本の知識でしか機械設計のことは知らないし、現場がどうやって動いているのかも殆ど分からない。だから、試作立ち合いや試加工のとき現場の人間と合うのが怖いのだが、彼氏は寧々が一番苦手な現場との打ち合わせ会議でも堂々と発言して、金型製造課のみんなにも「すごいな」と言われる。寧々はそんな彼氏を尊敬している。今まで結婚出来なかったのが不思議なくらいだ。  寧々は彼氏と違ってスポーツはあまり得意ではない。太ってるわけではなく、出るところは出て引っ込むところは引っ込んでいるが、特に何の努力もしていない。たぶん、20代という若さが奇跡の体形を産んだんだと思っている。顔は特別美人ではないが目がクリクリとしていて顔が小さいので、会社の同僚などには「顔だけ見ると小動物だよね」と言われる。
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