目玉が見てる

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 不動産屋の男の人が案内してくれた物件はワンルームだという話だったが実際見てみるとキッチン含めて12畳くらいの広さがあった。平野寧々はここに住もうと決めた。場所は埼玉県の北部で群馬に近いところだ。都心に出ようと思ったら電車でも車でも2時間は掛かる。まあ、幸い寧々はこの物件から1時間ほどの場所で働いている。これくらいの距離なら通勤圏内だ。  この真っ白い建物に来る途中にはコンビニなどが無かったが寧々は車を持っているし、ここはスーパーまでは15分もあれば行ける距離だそうだ。寧々は7万というこの辺りでは高い家賃を聞いていたから「まあ、見るだけ見てみます」とそんなに乗り気ではない返事をした。不動産屋のお兄さんは助手席に寧々を乗せて大通りから田舎町へと運転してここに来た。辺鄙なこの場所はお寺や神社の近くで畑と小さな土地に平屋と、その家の人が経営しているのかプレハブみたいな居酒屋があるだけで寂しい場所だった。でも、この先は工場地帯なので車の通りはあると不動産屋のお兄さんは言う。
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