さるたぬ合戦〜星の金貨の乱〜

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境内に住む動物達はマメと神様がなにやら面白そうなことを始めたので、みんな見物にやってきました。 マメと神様は境内の境界にある橋の真ん中にやってきました。 そこがスタートです。  ゴールにはキジがいて、勝敗を見定めます。 『星の金貨』もそこに置いてあります。 ゴールのお社まではクネクネとした長い山道を登らなければなりません。 でも、そんなの野山で生きてきたマメにはへっちやらです。 神様も元は化猿なので、山道など苦ではありません。 お互いに条件は同じ。 力も互角。 誰もがそう思っていました。 もちろん、神様もそう思っていました。 マメと神様がスタート位置に立つと、ハクビシンが 、尻尾をあげました。尻尾が下がったらスタートです。 両者とも気合は十分。 さぁ、いま。ハクビシンの尻尾が、下がりました! 「あーっ!!!」 神様が駆け出した瞬間マメが叫びました。 神様は驚いて転けてしまいました。 「神様、手を使った!ルール違反だ!!」 「はぁっ!?」 神様はなんの事かわからずに、困惑しました。 「神様さっき、ちゃんと足で走るって言ったじゃないか。でもいま手を付いて走ったよね」 「いや、そうは言うが、猿は走るときは手足を使うもので・・・」 「でも、さっき足で走るって言った!神さまは嘘は吐かないって言った!」 マメの言葉に神様の顔が赤くなりました。 まぁ、元々赤いんですけどね。猿だから。 「ならば、おまえも足だけで走らんかい!」 「走るよ。走ってるよ。ウチに手なんて無いもの」 そうです。狸には手は無いのです。 四本脚なのです。 神様はぐぬぬっと、奥歯を噛んで悔しくそうです。 「ルールを破ったらから、『星の金貨』はウチのものだね」 マメが小躍りしていると、神様が、「まてぇ〜い!」と叫びました。 バッタの仮面ヒーローばりの「まてぇ〜い!」でした。 「ワシが二足で走るのに、おまえが四足ではフェアじゃないのではないか?」 「・・・この後に及んで負け惜しみとは、情けない」 「負け惜しみじゃない!公平に勝負せいと言っとるのだ」 「あ〜いっがぁ、すべってさぁ〜♪」 「大○康平じゃない!若い世代はバウンド・ドックなぞ知らんわ。おまえのボケはわかりにくいぞ。マメ」 「うるさい。バ神様!バウンド・ドックじゃなくて、ハウンド・ドックだ!バウンド・ドックはモビルスーツだぞ!」 「そっちの方がわからんわ!!」 神様は咳払いをして、ズレにズレた話題を戻しました。 「ワシが二足で走るなら、おまえも二足で走れ」 「ほう。狸に二足で走れと」 「犬でさえ二足で歩く御時世だからな。狸でも可能であろう。特にスーパー狸を自負するおまえならば、余裕であろうが」 神様はマメを挑発しました。 いくら器用なマメでも、猿より二足歩行が上手いわけがありません。 走るとなると、尚のこと不利です。 だけど、神様はわかっていたのです。 マメは断らないと。 マメは神様に挑発されて、そのまま引き下がるような狸ではないのです。 マメは、「いいよ!」とすぐさま返事を返しまし た。 マメの返事に、神様はニンマリと笑いました。 「狸の二足走行を見せてやる!」 マメは自信満々にファイティングポーズをとりました。 こうして、勝負は仕切り直しとなりました。
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