薔薇の茶会

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「母が心身を病んで人前に出られなくなった時も、鞭打つような言葉を投げ付ける動きが一部にはありました」  しっとりと落ち着いた代わりにどこか冷めた薔薇の匂いが漂う中、若き女王は抑えた声で語った。 「母が立ち直ったのはもちろん父の支えもありますが」  若き女王は自分の父親よりも年長の首相に臆せず語る。 「ブリタニア留学時代の学友だった方々のおかげでもあります」 “リザヴェータ妃の反乱――ご公務休務の蔭に三人の魔女”  皇太子妃と同じ大国ブリタニアの名門大学を卒業し、それぞれ医師、外交官、弁護士になった三人の学友の女性たち。  宮殿に出入りして心身を病んだリザヴェータ妃の相談に乗っていた彼女らもまるで史書に出てくる悪辣な寵臣か謀反人のようにメディアに晒された。  この国では女性同士の対立は娯楽として消費される一方で、女性同士の本当に助け合おうとする結託は罪悪視されるのだ。
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