薔薇の茶会

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「母も声を上げて変えていくことは大事だといつも申しております」  ノンカは栗色の瞳で私たち全員を見渡すようにして語った。  そんな風にすると、普段は父親である亡き先王に似た女王の面輪が母親の太后そっくりになる。 「首相もご存知でしょうが、外交官の母が皇太子妃になった時、好意的に見る人ばかりではありませんでした」  並み居るお妃候補の中から皇太子が選んだのは、幼少期から諸国を歴訪し、外国の大学を首席で卒業し、数ヶ国語を操る才色兼備の外交官。  それは三十年ほど前のこの国では羨望よりもむしろ反発を強く引き起こした。
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