優しい彼

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「可愛い部下ほどヒイキしないように気  をつけてるんだ。だから、余計に怒る時間  が長引いて……(頭を下げて)悪かった」 「いえ……課長が謝るようなことじゃない  です」 課長の空いたグラスにビールを注いだ。 「ありがとう。やっぱ、いいよなー。 こうやって誰かと一緒に飯食ったり飲んだり するのって」 「あの課長ヒイキとかって なんの話ですか?」 「ああ、気がつかなかった? 俺が松下さんだけをヒイキしてること」 「え?」        思わず絶句してしまった。 ea8db15f-f615-47b2-9ef9-7e67e300a427 ーーーヒイキされていたなんて全く知らな かったし気がつかなかった    またグイッとビールをあおる課長。 ーーーただ、今日みたいに怒られた事はい  まだかつて一度も無かった。ミスしても注  意程度のものだった    課長を観察するように見てみた。 ーーーあれがヒイキの賜物だったの?あま り怒られてなかったから、私って今まで蓮 井課長を嫌いじゃなかったんだ 「(呟くように)そう言えば……そうか  も」  課長は酔ったのか少し赤い顔になって  いる。
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