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……まずいわ。どうしても、そっちの方に行っちゃうわね。
麻琴はまた、話を逸らすことにした。
「あ、あのねっ、結婚指輪のことなんだけど……」
久城 礼子を裏切る形になって、とても心苦しいのだが、今も麻琴の左手薬指で輝く婚約指輪と同じモニッケンダムで気に入ったデザインを見つけたのだ。
……久城さんデザインのオパールのピンキーはこれからも毎日つけるから、それで勘弁してもらおう、っと。
気に入ったマリッジリングは、今朝まだベッドの中で、激しかった夕べの「余韻」でぼんやりと微睡む麻琴に、『どれがいい?』と恭介が見せたタブレットのサイトにあったのだが。
……なんだか、ものすごい勢いで「結婚話」が進んでるような気がするんだけれども。
麻琴が気に入ったのは、プラチナとゴールドが重なりあったようなコンビのリングで、女性用にはハーフエタニティになったタイプもあった。
金属を叩いて加工する鍛造製法のそのリングは、オーダーを受けてからの生産になるため、早く決めるに越したことはない。
「僕はきみが選んでくれたものなら、なんだって毎日つけるよ」
そう言って、恭介は麻琴のエンゲージリングに、ちゅ、とくちづけした。
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