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廃屋に鎮座せしモノ 1
「ねえ、やっぱり引き返そうよ。ここ、絶対にヤバいよ……」
山根留依は震えながらそう囁いた。
「大丈夫だよ留依。もともとはおまえが行きたいって云いだしたんだぜ。ここまできて引き返すなんてできるわけないじゃん」
留依の幼馴染、東条正孝がいさめた。
「そうだよ留依、せっかくここまで来たんだから噂を確かめてから帰ろうぜ」
そう云った西野隆もまた留依の幼馴染だった。
「……だけどさあ…………」
「留依、とりあえず噂の廃屋の近くまで行ってみようぜ。それで本当にヤバそうだったら、すぐに引き返したらいいんだからさ」
正孝は留依よりも2歳年上の大学一年生だった。
「そうだよ留依、正孝の云う通りだよ。こんな山奥まで頑張ってやって来たんだからさ、とりあえずその廃屋だけでも見て帰ろうよ」
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