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「えーとね、だいたいの場所なら分かるよ。それに小柴さんにLINEで訊くっていう手もあるけどね……」
「じゃあ行こうよ。今夜はそんなに蒸し暑くないからさ、ドライブがてら行ってみようよ」
留依が語気を強めて正孝を見据えた。
「……あれ、もしかして正孝さん、怖いわけじゃあないよね?」
「おいおい、まさか怖いわけないだろう。たださ、明日は午前中からバイトが入ってるからさ……そのあんまり、夜遅くまで遊ぶのはどうかなって」
留依に挑発された正孝は少しむきになってそう云い放った。
「あら、私だって明日はライブなんだからね。でもいいじゃん、とにかく廃屋に着いたら、ちょっとだけ中を覗いてすぐに帰ってくればいいんだからさ」
留依の言葉に隆が同調し、続いて鏡花が賛同した。
「あーあ、おまえたち本当にお子様だな……。なんでそんな都市伝説を簡単に信じちゃうんだよ」
「なに言ってんのよ、小柴さんの話をふったのは正孝でしょう?」
正孝は露骨に嫌がったが、ほかの3人は山へのドライブぐらいに軽く考えていた。
「じゃあ、いいけどさー。でも留依は今、重要なときなんだからさ、みんなはしゃいで無茶するんじゃないぞ」
正孝のその言葉に鏡花と留依が小躍りした。
そうして正孝と隆、鏡花と留依は東京都の西側を目指すことになった。
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