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「正孝、おまえまさか本気で幽霊屋敷だなんて信じてんの? どうせただの廃屋だよ。劣化した家具や散らかり放題の衣類や紙、食器やオモチャ、要するに典型的なゴミ屋敷さ。ちょっとなかを覗くぐらいいいじゃん」
「隆、俺はおまえと違って幽霊の存在を信じてんだよ。だってさ、人が死んで、この世から綺麗さっぱり消え失せるなんて逆にナンセンスだよ。だから面白半分に中を覗くのなんてやめた方がいい。廃屋は確かに存在したんだから、もうそれでいいじゃん。目的達成だよ」
「……隆、もう夜も遅いし、とにかく帰ろうよ」
鏡花が云った。
「へいへいそうですか。まったく俺以外の3人は完全にビビってんじゃん。絶対大丈夫なのにさ、なにをそんなに怖がってんだろうね、まったく……」
多数決で負けた隆が、引き返すことに首肯した。
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