廃屋に鎮座せしモノ 2

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「よし、じゃあまた俺が先頭になるから、みんな着いてきて。帰りもゆっくり下っていくからね……」 正孝がそう云った刹那、ギィィィィィィィ! という歪な摩擦音とともに4人の斜め前方にある廃屋の玄関の扉が勝手に開いた。 「えっ、なに!」 逸早く反応した鏡花が恐怖のために硬直した。 「えっ、えっ、なんで」 隆が動転している。 「あっ、ああ、なんで勝手に……」 正孝が襲来する怖気に支配された。  留依は引きつった全身の筋肉を意識する暇もなく、ただただ思考停止したまま立ち尽くしていた。4人はいま何が起こっているのか、まったく理解できなかった。唐突な出来事にまさに呆気にとられていた。 「……ちょ、ちょっとヤバいかも……」  隆が駆け出したい思いを必死に抑制し、そう呟いた。そうだ、これはたんなる風の悪戯に違いない、落ち着け、隆はその言葉を急速に心の中で反芻していた。
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