廃屋に鎮座せしモノ 2

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 もしも勝手に開いた扉から青白い手がニュルっと出てきて4人を手招きしたとしたら、全員脱兎のごとく駆け出したに違いない。だが扉の奥から予期せぬものが飛び出してくることはなかった。4人は固唾を呑み、その場で硬直していた。 「こんなポロボロの家だからさあ、もういろんなところにガタがきてんだよ。多分、玄関の扉の周囲が歪んじゃってて、風が吹くと勝手に開くんだよ。ただそれだけのことだよ」  正孝がみんなを安心させるために気丈にそう発言した。 「……だよね? 歪んだドアが、ちょっとした風で開いちゃっただけだよね……」 鏡花はまるで自分に言い聞かせるようにそう呟いた。 「よし、いずれにしても撤収しよう。正孝いこうぜ」  隆が幾分、明るくそう促した。 「ああ、そうだな。よし、みんな行くぜ……」  正孝がそう云ったとき、急に留依の躰がビクンと痙攣した。 彼女はバランスを崩し、そのままその場にしゃがみ込んでしまった。 「留依! ど、どうしたの?」  驚いた鏡花が、すかさず留依の横にしゃがみ込んだ。 「留依、大丈夫か?」 「どうした留依? 立ち(くら)みか?」  正孝と隆が口々に留依に問いかける。
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