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追跡者S 1
「好きだああああああぁぁぁぁぁああああああぁぁぁぁぁ!!!」
男が、いや、より正確に表現すると小太りの中年男性が雄たけびをあげた。彼は下半身を左右に小刻みに痙攣させながら上半身をまるでタコのようにウネウネと空中浮遊させていた。両手にペンライトを握りしめた男は、沸騰した汗を周囲にまき散らしていた。
『伊達さんはヤバい……』いつしか男は周囲の男性陣から尊敬とも嫌悪ともとれる一風変わった熱視線を浴びせられるようになっていた。
「好きだああああ! 好きさああぁぁぁぁ!
君に首ったけなのさぁああああああぁぁぁぁぁ!!!」
ヤバい中年男性、伊達文哉は喜悦の絶頂にいた。場所は秋葉原にあるアイドル・カフェ「デンじゃらす学園はひはひフーフー」一号店である。さほど広くはない店内に設置されたステージでは、現在、店が売り出し中の"となりのフンワカ・アイドル・グループ"「なんちゃってアサシン」の熱狂ライブが始まっていた。
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