廃屋に鎮座せしモノ 1

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 留依の2歳年上の姉、山根鏡花(やまねきょうか)が云った。  山根姉妹と正孝、隆の4人は世田谷区の用賀で育った仲の良い4人組だった。山根姉妹が住む自宅から、ほんの50メートル先に住んでいた正孝は、幼い頃から姉妹と仲が良かった。  そして隆は正孝の無二の親友であり、小学校の高学年の頃から鏡花とも仲が良くなった。  高校受験から数えて1年半ほどは少し疎遠になっていたものの、鏡花、正孝、隆の同学年3人組は大学生になったいまでも定期的におち会っていた。彼らは、ときに深夜までファミレスで語り合い、大学生活や友人関係、そして恋愛話に花を咲かせていた。  山根姉妹は幼少の頃、母に連れられ、よく近所の公園に遊びにいっていた。そんなとき、つねに近くにいたのが正孝だった。山根姉妹の母と正孝の母は、仲の良いママ友だった。  明るく無邪気な正孝は、同じく快活で屈託のない鏡花とすぐに打ち解けた。少し引っ込み思案だった留依は、いつも姉の背中に隠れ、おどおどしていた。それでも優しく接してくれる正孝はまさに兄のような存在だった。  また留依が小学校三年生のときに始めて出会った隆は、スラリとしたイケメンで彼女は密かに隆に憧れていた。留依は大好きな姉に金魚の糞のようについて回り、正孝と隆にだけは、遠慮せずに明るく接することができた。  鏡花たちが高校受験に本腰をいれだした頃、まだ中学一年生だった留依はひとり孤独に過ごさざるを得なかった。
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