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そして月日は流れ、それぞれ別の大学に通うようになった鏡花たちは、またたびたび合うようになった。鏡花は留依を誘い出し、ちょっとだけ大人びた3人の大学生たちの楽しいお喋りの輪に参加させた。もしかするとお姉ちゃんは、私が隆さんに気があることを知っているのかな? 留依はそう考えていた。
高校二年生になった留依は学業とは別に打ち込むべきことがあった。学校の授業が終わるな否や、留依はそのまま秋葉原に向かうために山手線に飛び乗った。忙しく過ごす留依の唯一のリラックスしたひととき、それが姉たち3人組と共に過ごす楽しい時間だった。
「おおっ、ここを登っていくのか……」
雑木林の奥に辿り着いたとき、リーダー格の正孝がひとりごちた。前方を見やった一同の背筋に怖気が走る。
「……それにしても不気味な小道だなあ。本当にこんな山奥に人が住んでいたのかよ……」
「住んでいたみたいだぜ、隆。俺が調べた怪談サイトにのってた写真もこんなのだったもん。この小道を登り切った先に目指す廃屋があるんだ」
正孝は固唾を呑んだ。
「いずれにしても真っ暗ね。正孝、先頭よろしく」
鏡花の口から半ば強制的な言葉が漏れる。
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