追跡者S 2

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「Xは明確に伊達さんの存在と行為を認識していたと考えられます。Xが現れた理由が、そのるいるいさんにあるとして、もっとも重要なことは、Xがるいるいさんをどうしたいのか、ということをいち早く掌握することです。すなわちXの目的の理解です」 「凛ちゃん曰く、Xは生霊らしいんだけど、真壁さんはどう思う?」 ジェディが真壁に尋ねた。 「うむ、凛ちゃんの知覚力については、過去のさまざまな事例で実証されている。信頼を置くべきだろう。だが、それをより確かなものにするために茜の協力が必要だ。逆にジェディはどう感じた?」 「それがさ、Xの素性を探ろうと意識を開いてもすぐにシャットダウンされちゃうの。これもXが仕組んでいることなのかは分からないけれど、とにかくXを追跡することは至難の業だわ。茜さんに依頼することも、もちろん重要なんだけど、私は個人的に蛍ちゃんの協力を得るのがいいと思うの。彼女ならば自由に意識を遊離することができるからね。もしXが生霊だとして、蛍ちゃんなら、きっと追跡可能よ。そして彼女ならば物理的な距離に縛られることなく、時空を駆けることができるわ。それこそ月の裏側にだって瞬時に到達可能よ」
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