廃屋に鎮座せしモノ 1

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 確かにこの金曜日の夜、ファミレスに陣取った4人のなかで謎の廃屋に肝試しに行かないか、と提案したのは留依だった。  最初は半ば冗談のつもりだった。正孝がその廃屋の話を始めたのはどういった話の流れからだっただろう……? 留依は黙りこくったまま、心の中でことの顛末を想起しようとしていた。  陽気な正孝はいつも冗談ばかり云っては、みんなを楽しませるムードメーカーだ。今日も正孝が4人の会話の主導権を握っていた。彼は、おもむろにバイト先の友人から聞いたという怪談話を始めた。唐突な話は正孝の「……そうそう、そう云えばさあ」から始まった。 「俺のバイト先の小柴さんていう人から聞いた話なんだけどさ……。青梅よりももっと奥の山の中ににとんでもない幽霊屋敷があるらしいんだよ」  3人は顔を見合わせた。 「幽霊屋敷っていうと語弊があるか……そうだな、外見は朽ち果てた小さな廃屋なんだって。とにかくボロボロなの。それでさあ、そこは地元でも有名なオバケスポットらしいんだ」 「ふーん」 鏡花がいかにも関心なさげに軽く反応した。 「でね、俺のその知り合いの小柴さんなんだけどさあ、先月のとある週末に友達と一緒にその廃屋に行ったらしいのよ。現地に着いてみて改めてビックリしたそうなんだけど、とにかくそこ、荒れ放題で物凄く気持ち悪い家なんだって……」 「でもそこはさあ、昔はちゃんと人が住んでいたんだろう?」 「うん、住んでいたらしいよ。確か5年ぐらい前までは人が住んでたらしいんだよ。でね、どうやらそこには一家数人が暮らしていたらしいんだ。ところがある夜、家族全員皆殺しにされたらしいんだ」
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