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「真壁さん、とり急ぎ少女の名前だけお伝えしておきます。彼女の名前は冴蘭です。冴えわたるにお花の蘭と書いてサラと読みます……」
「……どういうことだ蛍?」
「えっ、えっと詳しくはお会いしたときにでも。まずは急いで準備してそちらに向かいますます。それじゃあ」
それだけ云うと蛍はスマホを切った。真壁は蛍との意外な会話のあと、暫し黙り込んでいた。真壁はドイツビールの残り半分を一気に飲み干した。
「……で、蛍ちゃんは来れそうなの?」
再び、仕込みのために忙しく手を動かしていたジェディが真壁に尋ねた。
「それが驚いたことに、今から準備をしてこちらに向かうそうだ」
「なぬぬ、すごいね、真壁効果。引きこもり娘がとたんに外出するなんてさ!」伊達が眼を大きく見開き、驚きを表現する。
「ええ、私の効果かどうかはともかく、とても不思議ですね。そしてなぜか蛍は件の少女の名前を私に告げました」
「えっ」ジェディと伊達が一斉に真壁に振り向く。
凛香は伊達の説得に応じ、すでに帰途についていた。
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