廃屋に鎮座せしモノ 1

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「ええっ、皆殺し? 一家惨殺?」鏡花が反応した。 「そうそう、平和な家族がある日突然、強盗に入られたかなにかで、とにかく全員殺されちゃったらしいのよ。包丁でめった刺しにされたとか、猟銃で撃ち殺されたとか、いくつかの説があるみたいなんだけどさ」 「へえ、でもまあ、たまにそんな事件、ニュースでやってたりするよね……。夜中に侵入されて一家惨殺……みたいなやつ」 「そうそう。それでその家なんだけど、一家が惨殺された後は当然ずっと空き家だったんだって。でもね、そんな曰く付きの場所なもんだからさ、自然といろんな噂がたつわけよ」 「ああ、ありがちなバターンね」 「それで近所の人たちは気味悪がって誰も近寄らないんだけど、頻繁に不埒な若造たちが肝試しにやって来るようになったのね……」 「ああ、パターンだよ、パターン」 「で、小柴さんもそんな不埒な若造のひとりだったわけなんだ。なんだか張り切っちゃって友達ふたりを引きつれて廃屋に突入しに行ったらしいんだよ」 「……で、それもまたありがちなパターンで、廃屋の中で髪の長い、血まみれの女の人がいたんでしょう?」 「……それがさ、ちょっと違うんだよ」 「じゃあ、なにがいたのよ?」
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