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「満面の笑みを浮かべたお父さんとお母さん、それから小学校低学年ぐらいの女の子が一斉にこっちを振りむいて、満面の笑みを浮かべたらしいんだ」
ここで正孝を除く3人が大爆笑した。
「ぎゃはははははは! なんだよそれ? そんな幽霊屋敷はじめて聞いたよ。じゃあ、家族総出で『ウェルカム小柴さん』、って感じだったってのかよ?」
隆が大笑いしながらそう云った。
「おいおい、おまえたちはそうやって呑気に笑ってるけどさ、実際に幽霊を見た小柴さん一行は、とにかく腰を抜かさんばかりに驚いたらしいよ。
……でね。幽霊のうちのひとり、小さな女の子が『お姉ちゃん、おかえり……』ってハッキリと云ったらしいんだよ。……で、みんな出口目指して一直線さ。もうどこをどう走って車のあるところまで戻ったのか、まるで覚えてないらしいよ」
「ははははは、なんだよもう。どっちにしてもそりゃー笑い話にしかなってないよ」
隆は相変わらず正孝の話をせせら笑いつつ、ドリンクバーへと歩いて行った。
「いやいや、でも想像してみろよ、山奥の廃屋で、皆殺しにされた家族が夜中にメシ食ってるんだぜ、絶対怖いよ。それでさ、その廃屋は怪談マニアにも結構人気があるらしくて、実際にいろんなサイトで紹介されていたりするんだ。投稿者の恐怖体験とか廃屋の写真なんかも結構アップされてんのよ」
「ふーん。それでさあ、皆殺しにされた家族は3人家族だったの? お父さんとお母さん、それから小さなその女の子」
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