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The decisive battle is Saturday 1
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うっかりカーテンを閉め忘れようが、いつものようにきちんと閉めていようが、結局今朝は早起きする事が決まっていたとしか考えられない。
それはそうだ、昨日あんな事があって眠れるわけがない。
“決戦は土曜日”
昔こんな歌あったよな。
(土曜日だったかは不明…)
そうだ、その土曜日の朝になってしまった。
昨晩あの後、秀一には“このまま家に戻るよ”と伝え、来た道をゆっくり引き返した。
帰宅して伊吹の部屋の前を通るとすっかり静かで、“起きて待っていたらどうしよう”という不安がひとつ消えた。
───あいつはゆっくり休めただろうか。
すっぽり被っていたふとんから、もぞもぞと顔を出して天井を見上げる。
正直やっとの思いで寝付いたのに数十分毎に目が覚め、その都度携帯で時刻を確認していたから大方このくらいの時間なんだろうと予測は出来ていた。
部屋の壁掛け時計は【AM 7:55】をさしている。
果たしてこれで“早起き”になるのかはわからないけど……。
カーテンを閉め忘れ、容赦なく襲う朝日から逃れようとふとんに潜っていたのに……光を遮断した所でもはや眠れるはずもない。
何気なくそのまま手を伸ばし、携帯を開くとLINEが数件。
おそらく秀一だろう。
きっと心配してくれてんだろうな…。
もう少し後でゆっくり返そう……既読せずにそのまま閉じる。
…………起きたくない。
でも、そういうわけにもいかない。
すると携帯の着信音が部屋の中をこだまする。
♪~♪~♪~……
「??!!」
ビックリした、置こうとした途端に震え出すとか何なんだ。
こんな朝っぱらから誰だよ。
【着信中:母 優子】
……は?母さん?
「───はい……」
『あら、あんた起きてた?ちょっと下降りてきて!
─────ブツッ』
「………。」
用件だけ告げて即切るの失礼だろ。
クソ……まだ布団の中で足掻こうと思ったのに…。
椅子にかけてあったTシャツを頭から被りスウェットのズボンを履いて、片手には携帯とパーカーを持った。
伊吹はもう起きているんだろうか……
そんな事を思いながら部屋を後にした。
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