Home 3

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Home 3

───────コンコンコンッ 2階へ上がって、私の部屋のお隣をノック。 「おはよ~?………入りまぁす……?」 そう。 いちおうノックはするんだけれど返事をもらったことは一度もない。 無反応なドアを開けるとそこから柔軟剤のような優しい香りが一気に広がる。 そこに男子特有のにおいが合わさって、嗅ぎ慣れない香りに毎朝胸を締め付けられている単純な私。 もう何日も経つのに緊張とドキドキが混ざり合っていつもこの状態。 あぁ、もう、一体いつになったら免疫がつくのだろう……。 「きっ、今日はすごく天気いいみたいだよ~♪ カーテン開けるねー?……よいしょっと……」 真っ暗な部屋に差し込む廊下からの薄明かりだけを頼りにいそいそと歩を進める。 カーテンの裾を掴むと一瞬にして部屋中が明るくなった。 私の眼下に広がるのはダークトーンで統一された必要最低限の家具たち。 壁掛けテレビ、片付いた勉強机、たくさんの参考書が並ぶ本棚、開きっぱなしのノートパソコン。 そして…… 8畳の部屋のほぼメインと言っていいくらいドーンと陣取っている大きなクイーンサイズのベッド。 ……殺風景にも程がある。 「起きないと遅刻するよ~?私知らないよ~」 「?あのー?もしもーーーし??」 「えーと、私の声聞こえていますかー?」 何回も畳み掛ける私を無視し、ふわふわな掛け布団をすっぽりとかぶって壁側へと寝返り打つ大きな身体。 うーん… これはいつものパターン。 「もぉおお、起きて~~!どうしてこんな朝弱いの!」 ベッドの端に腰掛けながら、向けられた背中を布団越しに揺らす。 「……。」 「ちょっとーー!」 「……。」 「時間なくなるよ!私のせいにされても困るんだからね?!」 「……。」 ───強めに揺らしても起きないって……?! 学校行かないんですか??! 今日という日をやめますか?! チラッと時計を見ると7時45分。 ヤバっ…… いくら学校から近いったって30分後には家を出ないと…! 意を決し、その誘惑し続けているモノを剥ぐことを決意。 「もぉ!!本当に遅刻するってばっ!!!」 ────ガバッ!!! 「……ん………」 強引にふとんを剥がすと、両腕で顔を覆い光を嫌がる筋肉質な身体がこちらに向いた。 腕をゆっくり移動させ、眉間にしわを寄せながら私と腕越しに目を合わせたその顔……… 優子ママそっくりの綺麗な綺麗な男の子。 めちゃくちゃ迷惑そうな顔で私を見てる。
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