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どうも朝が弱い“兄”を気遣い、甲斐甲斐しく朝食の支度。 …と言ってもママが作ってくれたものをチンして温めるだけだけど。 ─────ガチャッ リビングの扉が開くと、そこには何とも不機嫌そうな男子高校生がひとり。 ぱっちり二重がいつもの3分の1で、しかもぴょんとハネた寝癖付き。 こんなボーッとした姿…学校じゃまず見られない気がする。 というか絶対に見られないでしょうね…。 「お兄ちゃーん、パン何つけるの?チョコ?メープル?バター?ツナマヨ?」 突っ立ったまま意識を朦朧とさせてる先輩の腕を引っ張ってダイニングテーブルへ誘導。 (ここまでする私って優しくない?!) 「…いちご」 「はぁーい」 私も向かい側に座り、トースターから出した食パンにイチゴジャムを塗ってあげる。 「♪~♪~」 「…つーかその鼻歌は何?テンションが異様すぎて気持ち悪ぃんだけど」 私が差し出したお皿を怪訝そうに受け取るその顔ったらもうナイ。 (しかも気持ち悪いって…。) 「べ、別にぃ?ちょっとね~っ♪ ……あ、そういえば確か冷蔵庫に"ミズノ"の焼きプリンあったよ!パパのお土産じゃない?昨日飲み会だったみたいだし。今食べる?」 「……食う」 「了解~♪」 一緒に暮らし始めてまだ日は浅いけれど毎日色んな発見がある。 甘いモノとか食べなさそうなのに実はかなりの甘党だったり。 ブラックコーヒーと辛いモノが大の苦手だったり。 クールで意地悪でSなクセに超甘党って…まー、この義兄も可愛いとこはあるんだよね。 「ね、お兄ちゃん。今日パパたち銀座で記念日ディナーじゃん?私も今日の夜は大ッッ事な用あるんだよね~…そこでなんだけど夕飯はどうするつもり??」 「どうするって何が」 「何がって、うーん、材料あるし…何か適当に作ってくれる?」 「……あのな。何でいちいちメシの心配されなきゃなんねぇんだ、ガキでもあるまいし。ほっとけよ」 ─────プチッ …あぁ!!そうですか!!! すいませんね!!!! 可愛いトコあるとか速やかに撤回させて頂きます!! いつの間にか食べ終えてる先輩の食器を取り上げ、私は無言で洗い物開始。 ほんとに何でこの人は可愛げのないモノの言い方しか出来ないんですか? ガチャガチャ予洗いを済ませ、食器洗浄機にぶち込む。 しかも何よ!! 歯ブラシくわえながらリモコン片手に天気予報チェックしてるし!! 晴れだよ晴れ!晴れだってば!カンカンの快晴!! 早くしてよ!変なとこマイペース! これだから嫌だ一人っ子って!!(私もか) とにかく!!!! もう家を出る時間なんですけど!!! 〜〜〜〜〜ていうか、私は今日デートなの!! 兄の世話焼いてる心の余裕ない!時間もない!! 何で朝からバタつかなきゃなんないのっ!泣 ちくしょう!!もう!! 今日の夜は絶対に楽しみまくってやる!!!!!!!
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