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At a school 2
「───伊吹ちゃん!」
亜由子とギャーギャーやっていると、私の名前を呼ぶ愛しい声。
後方ドアの方を振り向くと、やっぱりそうだ。
短く切った髪をツンツンに立てて、こちらに向かって手招きしてる。
…………渡くんだっ♪
悪そうでチャラそうで、そこがもうかっこよすぎる!!
口に開いてるピアスがまたエロッ!!
もうメロメロ!!やばぁい!!
「わっ……渡くん……♪」
「…げッ……💧」
ルンルンで席を立った私と対照的に、明らかに嫌そうな顔の亜由子。
“げっ”って亜由ちゃんそれダメだよっ!失礼すぎるから!!汗
もぉ〜〜何でそんなに露骨に態度に出すかなぁ!💦
「4組まで来てくれるなんて珍しいっ!どうしたの?もしかしなくても私に会いに来てくれた……とか??」
ぴょんぴょんと跳ねながらドアに向かった私と対峙するなり、急に気まずそうな表情へと変わる愛しい彼。
「あ、うん…。…えっと今日伊吹ちゃんと遊ぶ約束ダメになっちゃったんだ…それを謝りたくて」
……え……
ええええええええ!!!!!!!
思わず人目を憚らずに全力で項垂れる。
嘘でしょぉおおお??!!泣
髪だって……メイクだって…頑張ったのに…
「祖母が入院しててお見舞いに行かなきゃならなくなったんだ💧ほんとごめんね…」
「そうなんだ……仕方ないよ!おばあちゃんお大事にね、わざわざ来てくれてありがと!」
おばあちゃん具合悪いんだ…仕方ないよね。
しかも渡くんの大きな手で頭ポンポンされたら何も言えないよぉ💧
去りゆく彼の後姿に手を振りながらガックリとため息。
はぁ、ショック…。
前々から約束してたデート…仕方ないとはいえ……うう………涙
「…ドタキャンねぇ。良かったじゃない?てか相変わらずあの口ピ、マジでダサっ…」
私の背中にピタッとくっついて目を細める亜由子。
「良くなぁいっ!ダサくなぁい!!泣」
「はぁ?あのクソ生徒会長様といい、この口ピチャラ男といい、あんた男の趣味どうかしてるわよ!いいかげん目をお覚まし!!!」
「ひどぉいっ!泣」
半泣きでダダをこねる私を見て、隣の席の仁志くんがフラリと寄ってきた。
「ふーん、天野ってマジに渡と付き合ってんだぁ。どこがいいの?悪そうでヤンキーっぽいとこ?」
「仁志くん!…渡くんのどこがって…え??」
「ちょっとー、ニッシーからも言ってやってよー。伊吹ってば全然私の話聞かないのよ。あんなクソ男さっさと別れろって言ってるのに」
亜由ちゃんてば仁志くんの腕を掴み、2対1の状態。
「あ~…なるほど。うーん。渡ね、正直オレも賛成しないかなぁ」
「えぇ!?何で!?仁志くんまでそんなこと言うの!?」
「ほーら見なさい、バカ天野が」
ちょ、ど、ど、どういうことですか!!!!!
「オレ、前に渡とちょっとあってねー。私情挟むつもりは無いけど天野は女の子だし大事な友達だし……嫌な思いしてほしくないからさ」
「おーい、仁志ー!!今ちょっといいかー!?」
「あ、おう!今行く!
………ってわけで!天野も気をつけろな!じゃ!」
いきなり話に加わった仁志くんは、亜由子に賛同&私に忠告してフラリと去って行った。
天野も気をつけろって何?!
嫌な思いっ?!
へっ??!!!
「…ニッシーがあそこまで言うとはね~。何かあったんだわ。ほら伊吹。やっぱあのうんこ野郎とは別れるべきね。決別一択」
なっ!!!う、うっ??!
な、な、な、何なのみんなして寄ってたかって!泣
「わ、別れないよっ!!渡くんはフツーに良い人だもん!〜〜〜もう!みんな知ったような事言っちゃってさ!」
「は?あのね伊吹…私はあんたの為を──────」
『キャーーーーーーー!!!!!!!!!』
亜由子が言い切る寸前、いきなり聴こえてきた女の子たちの黄色い歓声。
あまりの騒がしさに私たちは顔を見合わせ、そのまま声がする方へと振り向いた。
………な、なにごと?!
あっ
もしかして………。
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