文句はモンスターに言ってくれ！ うちはブラックギルドです。

　最後に休日取ったのは、いつだっけ？　思い出せない。
「帰れって言ってるの」
　わたしは新人くんに言った。
「みんな戦ってるじゃないですか。僕だけサボるわけにはいきません」
　模範解答が返ってきた。
　彼は最近、うちのギルドに入ったばかりでレベルも低い。
　装備は皮鎧に、はがねの剣。これらは他のメンバーのお下がりだ。
「みんなはきちんと休日取ってるし、時間になったら帰ります」
　わたしは他のメンバーを指した。
　彼らはベテラン勢、つまり戦い慣れしている。草刈りでもするようにモンスターの群れをなぎ倒していくのが、見ていて爽快だ。
「ギルマスこそ、なんで戦ってるんですか！？」
　新人くんが眉間に力を入れる。
　問われて初めてわたしは悩んだ。
　なんでだろう、わたしがギルドマスターを務めてるから？　ってのは違うな。答えは決まっていた。
　そしてわたしは叫んだ。
「クエストがわたしを呼んでるから！」