ラブリー猫、マロ

1/1
前へ
/1ページ
次へ

ラブリー猫、マロ

第一章  皆さんこんにちは。私の名前はマロ。白と茶のコントラストがラブリーな三毛猫である。私には5匹の兄弟と2人のご主人様と2人の下僕がいるの。これは、私達6匹がご主人様達に出逢って家族になるまでの物語。 私が生まれたのは、草の上の雪がようやく溶け始めた頃だった。私は自分が何番目に産まれたか知らない。気付いたら大好きなママと5匹の兄弟に囲まれておっぱいを飲んでいたんだもん。ママのおっぱいってね、とーっても美味しいの。美味しすぎていつも兄弟と喧嘩しながら飲んでたのよ。ママのお顔に近い方が美味しいからそこを巡っていつも争ってたわ。まぁ大抵ラブリーな私が買って美味しいおっぱいを独占するんだけどね。  ママは近所の野良の間でも有名な美人猫だったの。白と黒の毛並みに、くりっとした黄色い目は暖かくなった時に見た花の色によく似ていた。パパはよく分かんない。ママの話だと、ここらを制しているボスらしく、強くてカッコいい雄なんだって。ママはパパのどこが好きだったの?と聞いたら縞虎柄の大きな体がカッコ良かったって教えてくれた。パパはボスだったから忙しくて私達に会いに来ることは無かったの。でもたまにママには会いに来てたみたい。ラブラブよねー。そんなある日、ママがピンク色で何か美味しそうな匂いをする物を咥えて寝床に戻ってきたの。 『ママ、それなぁに?』 『にんげんがくれた食べ物だよ。毒とかは入ってないから食べてごらん』 ほんとに?ほんとに食べても大丈夫な物なの??いつも食べてるカエルとかネズミみたいな色と形してないよ?…あっ、兄弟が食べた。どう?……え?とっても美味しいの!?待って私も食べたーい!!!  にんげん、というものがくれた食べ物は今まで食べてきたどんなカエルやネズミよりも美味しくて夢中で食べたの。でも私達の歯ではまだ硬くってゆっくりゆっくでしか食べられない。うーん、もっとガツガツ食べたいな。 『美味しい?』 自分の毛並みを整えながらママが聞いてきたから、必死に頷いた。そしたらママねちょっと悲しそうに鳴いて、 『じゃあ今度はママと一緒にそのにんげんの所に行ってみようか』 お前達が一緒ならもっといい物をくれるかもしれない。え?もっといい物!?これより!!?行きたい行きたい!! 「”7&%$&(#(&#?」 ………な、なにこの大きくて何喋ってるか分からない生き物は!?ママ!!ママ!!怖い!助けて!!キャー!!!やめて触んないで!噛みつくわよ!!  にんげんって言う生き物は、私達と全然違かった。頭にしか毛は生えてないし、四足歩行じゃないし、とにかく大きい。もう一度言う、とにかく大きかったの。 『ママ!私怖い!頭から丸呑みされちゃう!』 『大丈夫よ。このにんげんは私達に酷いことはしないは』 『でも、でも…』 『わぁ!ねぇねぇ、あのにんげんっていうやつとっても美味しそうな匂いがするもの持ってきたよ!』 『ちょ、ちょっと兄弟!!』 「!”#$#”%!#&#!”$&%%&’()13!”」 にんげんはまた意味がわからない言葉を発すると、大きな木の板の向こう側に消えた。そして暫くすると白くて大きいとってもいい匂いがするものを持って戻ってきた。 『ほら、大丈夫よ。この前食べたのと一緒』 にんげんがコトンとその白いものを私たちの前に置く。その中にはこの前食べたのと同じ……ううん、この前食べたのよりずっと小さくなった美味しいやつが入っていた。 『これこの前よりたくさん食べれるね』 『うん、食べ易いね!』 形は小さいけど、味は一緒ですごく美味しいそれを私達兄弟とママは夢中で食べた。……って、兄弟、あんたは食べないの?ふーん、ママのおっぱいの方が良いの??私は同じくらい美味しいと思うけど。
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加