家族でマスクでお騒ぎMAX!

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家族でマスクでお騒ぎMAX!

「ごちそうさまでした~♪」 「ごっつぁんで~す♪」 「うぃ~っす♪」 「は~い♪ みんな、忘れ物ないようにね~♪ いろいろ流行(はや)ってるから、マスク忘れないようにね~ッ!」 「は~い♪」 「はいよ~♪」 「うぃ~っす♪」    家族みんなで朝食を終え、旦那、高三の長男、高一の次男が、今から電車で、通勤・通学。  私がテーブルを()いていると、 「じゃあ、ママ、行って来ま~す!」 「うぃ~っす♪」 「うぃ~っす♪」  と、玄関から聞こえて来た。私は、テーブル拭きを一時中断して、みんなマスクを忘れちゃいないか、確認も兼ねて、玄関までお見送りすることにした。 「は~~~い、みんな、行ってらっしゃ~~~い♪  ……って、 どアホーーーーーーッッッッッッ!!!!!!」  私は思わず叫んでいたッ! 「どしたの、ママ?」 「うぃ?」 「うぃ?」 「誰がプロレスのマスクして行けって言うたんやーーーッッッ!!!」 「えっ?!」 「違うの?!」 「うぃ?」 「そのマスクは、鼻ッ! (くち)ッ!、()いとるやろーッ! ど、ど、どアホーーーーーーッッッッッッ!!!!!!」  あイタタタ~ッ! 確認してよかった~ッ! プロレスヲタクの旦那や息子たちにとって、マスクと言えば、そっちのマスクだった! 「プロレスのマスクだと、鼻・口が、ガードできないでしょッ!」 「あ、そっか~♪」 「もう~、ママ、そういうことは、早く言ってくれなきゃ~♪」 「うぃうぃ~♪」 「で、パパッ!」 「はい~ッ!」 「銀行寄って行くって、言ってたよねーッ!」 「はいッ!」 「そんなマスクして銀行行ったら、銀行強盗と間違われるでしょッ!」 「あ、そだね~ッ!」 「『そだね~ッ!』って、今頃、気ぃ~ついたんかーーーいッッッ!!! どアホーーーーーーッッッッッッ!!!!!!」  本日、早くも、三回目の、「どアホーーーッッッ!!!」、炸裂ッ!  彼らはようやく気づいたらしく、プロレスのマスクを顔から取りながら、それぞれの部屋へ、マスクを取りに行った。 「じゃあ、行こっか~!」 「あいよ~♪」 「うぃ~っす♪」    パパが、子供たちを部屋に呼びに行き、先頭を切って、玄関に向かうような話し声が聞こえて来た。 「じゃあ、ママ、行って来るよ~♪」 「行って来ま~す♪」 「うぃ~っす♪」 「は~い、今度は行ってらっしゃ~~~い♪ ……って、  そうそう、そうそう、カキーンッ! と、ファールチップが、ゴツンッ! と当たって、キャッチャーマスクで、顔面ガードッ! ……って、 どアホーーーーーーッッッッッッ!!!!!!」 「えっ? 違うの?!」 「何で?」 「うぃ?」 「ファールチップから顔面ガード出来ても、空気がスースー筒抜(つつぬ)けでしょッ! とりあえず、鼻と口とガードしなきゃでしょッ!」 「あ、そっか~♪」 「最初から、そう言ってくれなきゃ~♪ な~♪」 「うぃうぃ~♪」  彼らは、ようやく気づいたのか、キャッチャーマスクを廊下(ろうか)に並べ、今度は仏間(ぶつま)に入って行った。  んっ?   え~っと……、私、仏間にマスク置いてたっけ?  ー チ~~~ン♪ ー  お仏壇(ぶつだん)のお(りん)の音が聞こえて来た。あっ……、私、マスク買って来て、お仏壇の前に置いたままにしてたかも……。  と、思っていたら、  ー サクッ、サクッ、サクッ…… ー  んっ?   何か切ってるような音? 「これぐらいの大きさでいける?」 「いけるいける♪」 「OK~っす♪」  仏間から、どうやら、マスクOKな会話が聞こえて来たので、 「早くしないと、遅れるわよ~!」  と、私は、彼らに急ぐよう(うなが)した。すると、 「うぃよ~(はいよ~)♪」 「う~い(は~い)♪」 「うぃ~♪」  と、マスク越しの返事というより、何か(くち)にくわえたままの無精(ぶしょう)な感じの返事が返って来た。  んっ?   どゆこと?  って、思いつつ……、 「今度こそ、ちゃんとマスクしててよ~」  って、声を掛けると、旦那を先頭に、長男、次男と、三人が一列に並んで、仏間から出て来た。 「は~い、今度こそ、行ってらっしゃ~~~ い♪ ……って、  そうそう、そうそう、(ほとけ)さんにお(そな)えしてあるメロンを()げさせてもらって、鼻と口を(おお)(かぶ)せられるくらいに、サクッ、サクッ、サクッ、と切り分けて、ガブッとくわえて、マスクメロン! ……って、 どアホーーーーーーッッッッッッ!!!!!!」 「えっ? これも違うの?」 「え~~~? 分かれへ~ん!」 「うぃ~?」 「そんんんんんんなメロンの切り方・食べ方してぇぇぇーーーッッッ!!! このバチ当たりがーーーッッッ!!!」 「ママに怒られちったね♪」 「怒られちった、怒られちった♪」 「うぃうぃ~っす♪」  さすがに、反省したのか、彼らは仏間に戻り、お仏壇に合掌(がっしょう)しているようだった。 ー チ~~~ン♪ ー  お(りん)の音が聞こえた。どんな風に反省しているのかと思い、ちょっと仏間を(のぞ)いてみると、 「ママが、完全に怒っちったので……」 「マスクメロンで『甘いマスク』って、もう一丁(いっちょう)(かぶ)せられませんでした……、残念!」 「うぃっす♪」  はぁ~……、ゴリゴリのオッサン(づら)三人で、何を言っているかと思えば、はぁ~……、情けない……。 「今日は、朝から……」 「家族で、マスクで……」 「お騒ぎMAX!」 「……だったね! ニャ~ハッハッハ♪」 「ハッハッハ♪」 「ハッハッハ♪」 「『お(さわ)り』じゃなく、『お・さ・わ・ぎ』! なんつって♪ ニャ~ハッハッハ♪」 「パパ、相変わらずスケベだね~! ハッハッハ♪」 「ハッハッハ♪」 「あ……、俺たち、今日、学校休みだわ!」 「うぃッ! そだねッ! パパは?」 「あ……、今日は、俺も、この前の休日出勤の分の、代休だったわ! ア~ッハッハッハ♪」 「ハッハッハ♪」 「ハッハッハ♪」    おバカなうちの男どもッ! お仲がおよろしいことで……。  それはそれでいいんだけれど、それにしても、アホ過ぎて、  あぁ……、情けない……。 ー チ~~~ン♪ ー
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