蘭子

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「どうぞ、中で話しましょう」 「蘭ちゃんに、聞かれてもいいんですか?」 「構いません。さ、どうぞ」 怪しい奥さんと、怪しい旦那さん。 この家は怪しい。怪しい占いやってる奥さん。夜な夜な子供と出かける旦那さん。仕事してるのかもわからない雰囲気。 ゆとくんは今は寝てるらしい。蘭ちゃんも寝かせたいのに…長引きそう。 「実は…私は、拝み屋なんです」 「え!?本当に?」 「まさか見られるとは」 「見えてますよ!パパラッチかと思って警戒してて」 「パパラッチ?あなたはなんの仕事を?」 「…モデルです」 あまり知られたくなかったけど、しょうがない。 「…あらやだ。よく見たら最近雑誌で人気の」 怪しい奥さんもお茶を出して、椅子に座る。 「…え、そうなの!?蘭ちゃんは本当にお子さんなんですか?」 「…はい」 「隠し子?」 「隠してないです。普通に結婚しました。でも事務所が隠蔽してます」 「そういう事情が…」 「それより、ゆとくんを連れ回すのはよくないです!夜に…なにしてるんですか?」 「実は、悠人は動物と話せるんです。だから仕事を手伝ってもらっていて」 「そ、それほんと?蘭ちゃん知ってた?」 「うん」 うそーふみちゃんも知らないやー うわーびっくり! 「私は霊と話せるんですが…悠人のように動物とは話せなくてですね…」 「えー!?幽霊!?俺に、ついてますか?」 「…あなたには見えません。蘭ちゃんには最近話しかけてますね」 「誰が…ですか?」 「…あなたの、お父さん?」 「…早く、なんとかして欲しいです。ずいぶん前に亡くなってます」 「大丈夫、私が今話してすぐ消えました」 「…なんて、言ってました?」 「蘭子とは、いい名前だと」 それだけのために?ずっといたの? 「なんで、蘭ちゃんに…?」 「あなたを見守っていたらしいですけど、娘さんに移動したみたいで。なかなか強い意志があったみたいで、残ってたみたいですが、話せて満足したみたいです」 「蘭、というのは…父が育てていた花なんです。だから、ずっと…蘭子のこと大切に、します」 「パパ?」 人様の家で号泣してしまった。
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