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「蘭ちゃん、お腹すいたね。食べようか」
「あ、うん」
うとうとする蘭ちゃんを抱えてご飯を食べるミナキ。ちゃんとお風呂も入れて、しっかりしてる。
「翼のことだけど…」
ゆっくり時間が空いたとき、話し始めた。
「メアリーは、すごく売れてて、仕事も波に乗ってた。だけど、翼と付き合って…子供できたから、もう続けられなくなった。メアリーのお父さんたちも怒ってて…メアリーは実家にも帰れなくて、翼と日本の田舎にいるんだって」
「そうなの…」
「会社にも出入りできない。だからメアリーには会えないよ」
「そうなんだ」
「いつかメイクしたいって言ってたけど、残念だな」
「はぁ、ミナキ…それでも付き合ってあげてるの?嫌いじゃない?」
「嫌いではないよ。メアリーのことは好きだったし、メアリーが選んだんだから、翼もいい人なはずだよ。でも、ふみちゃんのこと悪く言うのは嫌だな」
「あの人、私がミナキを誘惑したって…」
「逆。俺が誘惑したよね?しつこくつきまとって、そうだよね?ふみちゃん」
ミナキってほんとに優しくて、むかっとする!私が嫌なやつに感じるんだもの。
「そうかもね」
そんな話をした翌日、また来客が。
ミナキは勝手に人を家に入れるんだから。
「まじ誰」
「あ、古屋準也です」
え、日本語…
「ふみちゃん!準也はモデルでースタイリスト勉強しつつカメラの勉強もしてる子だよー」
「ミナキの知り合い?」
「もちろん!準也を教えたりもしてる。準也は日本人だよ」
「へぇ…そうなの?」
謎にアロハシャツだけど…?
でも黒髪かぁ…?
「ハワイ生まれのハワイ育ちで、ウクレレ好きです!」
へぇーめちゃ陽気。
「ミナキの家になかなか行けなくて。でも来ていいって言われたから来た」
「え…」
「ごめんなさい。資料昨日届けるの俺だったのに…翼が行ったみたいで」
「あー、そうだったんだ…」
「ミナキの奥さん、はじめまして。翼が意地悪しなかった?」
「して行ったけど。でも気にしてないです」
「翼はね、準也にカメラ教えてて。安い給料でねー。いろいろ思うところもあると思う。準也、ご飯食べてく?」
「食べる!」
「ふみちゃん、準也は一人暮らしなんだよ。ご飯食べさせてあげたい。いい?」
いやいや、ミナキ。私に先に聞けよなー
「いいよ。蘭ちゃーん!お客さんとご飯食べるよ」
先にご飯を食べるところに、蘭ちゃんを座らせておいてよかった。だって、座ってる蘭ちゃんは、準也くんに飛びついていきそうな勢いだった。
「わーい!おにーちゃん誰?かっこいいね」
ここまで褒めるとは…蘭ちゃん、このおにーちゃんにしといたら?
「えーほんと?蘭ちゃん準也と結婚する?」
ミナキも同じこと考えてたみたいで笑ってしまう。
「ゆとくんと」
「えーそっかー」
「えーなになに?誰それー?」
「蘭ちゃんの好きな子だよ。パパよりゆとくんがいいってさ」
「ミナキ可哀想。でもー俺はちびっ子とは結婚とかないなー。逮捕されちゃう」
真面目に答えた準也くん。どういうこと?
「えっと、準也くん。冗談だよ?」
「え、そうなの?なんだぁーびっくりしたよー」
ちょっとおとぼけてて、かわいらしい。そして、この顔…モテるはず。
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