13人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
ミナキは首をかしげた。
「それは嘘だよー?噂なんてないよ」
「はいはい。私はあなたのこと全然知らないわよ?」
「こっちだってフミのこと知らないよ?でもフミのこと好きだからしょうがないよ」
もう、どうしたらいいの。あー言えばこう言う。
「フミ、ミナキが好きとか言うなんて珍しいよ!」
妙に先輩は珍しがってる。
「それは…?」
「だって本当に好きな人にしか言わないのが普通なんでしょー?好き好き言ったらおかしいじゃん?」
「はは!ミナキは思ってたより硬派なんだな」
バカにして先輩は大笑い。はー、呆れてくる。
「あんたバカじゃないの?私なんてなーんの取り柄もないわよ?珍しいこと安易に言うな」
「どうして?こんなにも綺麗なのに?」
「やめて。変なこと言わないでよ!」
「本当なのにー!信じてくれるまで言うよ!何回も!何回も!」
「はーミナキは意外としつこいな」
「はぁ…ミナキはバカですね」
先輩と呆れるしかなかった。
「つれないなぁー。でもミナキって呼んでくれて嬉しいなぁ」
笑顔がまぶしい。なにこいつ、余裕だな。
俳優さんにもこの話を聞かれているけど…
「よしミナキ、本当に邪魔になってきたから戻りな」
「…はーい」
あまりに居座りすぎて、先輩に結局邪魔者扱いされたのだった。
撮影は一ヶ月くらい。その間中、時間があればすぐにミナキは話しかけてきた。白い目で見られるので、やめて欲しかったけど言うこと聞かないやつだ。
最初のコメントを投稿しよう!