渡米

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ミナキは首をかしげた。 「それは嘘だよー?噂なんてないよ」 「はいはい。私はあなたのこと全然知らないわよ?」 「こっちだってフミのこと知らないよ?でもフミのこと好きだからしょうがないよ」 もう、どうしたらいいの。あー言えばこう言う。 「フミ、ミナキが好きとか言うなんて珍しいよ!」 妙に先輩は珍しがってる。 「それは…?」 「だって本当に好きな人にしか言わないのが普通なんでしょー?好き好き言ったらおかしいじゃん?」 「はは!ミナキは思ってたより硬派なんだな」 バカにして先輩は大笑い。はー、呆れてくる。 「あんたバカじゃないの?私なんてなーんの取り柄もないわよ?珍しいこと安易に言うな」 「どうして?こんなにも綺麗なのに?」 「やめて。変なこと言わないでよ!」 「本当なのにー!信じてくれるまで言うよ!何回も!何回も!」 「はーミナキは意外としつこいな」 「はぁ…ミナキはバカですね」 先輩と呆れるしかなかった。 「つれないなぁー。でもミナキって呼んでくれて嬉しいなぁ」 笑顔がまぶしい。なにこいつ、余裕だな。 俳優さんにもこの話を聞かれているけど… 「よしミナキ、本当に邪魔になってきたから戻りな」 「…はーい」 あまりに居座りすぎて、先輩に結局邪魔者扱いされたのだった。 撮影は一ヶ月くらい。その間中、時間があればすぐにミナキは話しかけてきた。白い目で見られるので、やめて欲しかったけど言うこと聞かないやつだ。
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