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そんな撮影が終わり、お給料も入ったし洋服を買いに行った。仕事ばっかりで買い物する暇もなかったもの。次の仕事は決まってたけど、今日はお休み。食品も買いに行き、選んでいたところ…ふいに手を握られた。
びっくりして振り向くと深く帽子をかぶってサングラスをしている人だった。思わず声が出そうになったけれど、すぐにサングラスを傾けた。目を見たらミナキだった。
「お、おどかさないでよ!」
「ごめん、嬉しくって。会えて嬉しい」
変装してるのか…。笑顔になったらミナキってばれそうだけど、いいのか?
「フミは、この辺に住んでるの?」
「そうですけどー?なんで変装してるの?」
「パパラッチがうるさいからね~」
「あっそう。買い物とか一人でするのね」
「うん、一人暮らしだし」
「私もだけど」
「両親いないんだ」
「え、なんで?」
「死んじゃった」
「そ、そんなこと私に言われても困る」
なんとなくだけど、ミナキは恵まれてるように感じてたから。少し驚いた。
「フミのこと好きだよ。だから一緒にいたいんだ」
「なにそれ、一人で寂しいってこと?だったら誰でもいいんじゃないの?」
「だめ。フミがいい。気を使わないから」
「それは…あんたのことよく知らなかったからで」
「でもいいよ!フミ、一緒暮らしてほしいんだ!」
「あのねぇ、いきなり一緒に住もうなんて普通言わないよ?物事には順序というのがあるのよ?」
「順序?どんな?」
「え?えーっと、まずは付き合ってデートしてそれから…」
「それフミに頼んだよー!」
言ってたけどさ…
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