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俺は大学を卒業後、東京の某病院で30歳まで勤務。
その年、『茗荷皮膚科医院』の院長だった父親が急逝した。母親は動転して半月も寝込んだ。そのため、やむを得ず俺は東京の病院を辞めて実家に戻り『茗荷皮膚科医院』の後を継ぐことになった。
『茗荷皮膚科医院』は北海道の地方都市にある。地方都市とはいえ田舎だ。東京に比べれば北海道は田舎というより外国だ。何もかもが違い過ぎ簡単に説明できない。一流アーティストの演奏会や美術展は東京まで行かなければ鑑賞できない。本当に欲しいものも東京まで行かなければ手に入らない。学会や研修会など勉強するためにも東京へ行かなければならない。
飛行機に乗れば東京は日帰り可能だ。だが簡単ではない。忙しいのだ。
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