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明日へのメモ書き
子どもの頃、小児結核を患ったくらいだから俺の呼吸器系は敏感で、数年前から喘息になってしまった。一年の大半は落ち着いているが、疲れや不摂生がたたると症状が出る。
先週の半ばから咳き込み、さすがに今のご時世ではマスクをつけてさえも仕事に出るのはどうかと思い、まず木曜日は1日休み安静にしていた。
母親が何だかんだと心配やら文句やら、とにかくうるさく呪文のように唱えるので、次の金曜日は仕事に出た。
声を出すと咳き込みそうになるので小声でつぶやき筆談で対応していたが、いよいよ辛くなって早めに家に戻った。
夕方5時頃、薬を飲んで倒れるように眠った。夜中の12時半に一度、目が覚めた。喉がカラカラで水を飲みトイレに行き、また寝た。次に目が覚めたのは土曜日の午前11時半を過ぎていた。
うちの医院は土曜日も午前中は診療している。昔からそうしているから案外、混む。平日仕事の人は土曜日しか来られないから。
長々と、どうでもいいことを書いたが
昨日、日曜日の夕方、母親から泣きそうな声の電話。俺が出られなかったのは木曜日と金曜日の夕方と土曜日。その間、もう大変で無理だと思ったと言う。
「あなたがいないと、頭がパニックになって、わかることもわからなくなる。自分1人では絶対やれないと思い知った。」
などと感情的に言った。
母親は若い頃から実に感情的になりやすい人間だ。仕事柄、理系の思考回路が皆無ではないだろうが、身内に対しては感情的になりやすい。甘えているのだろうか。
今朝、俺は早めに職場に着き、母から俺がいない間の報告を聞いた。結構、悪戦苦闘していた。俺からすれば、どうってことない事例や事情でも、母は1人で混み入ってくるとパニクるらしく、書類に目を通しただけで、その混乱ぶりが伺えた。
とにかく整理すべきは整理し、片付けられる仕事を片付けた。今日は朝から天気が悪い割に忙しい1日だった。疲れた。
仕事を終えてピアノを2時間くらい弾いた。今日はショパンの『別れの曲』と『プレリュード7番Op.28』(太田胃酸のCMに使われた曲)を何度も弾いた。簡単な曲だと思うだろうが、誰もが知っている曲を魅力的に演奏することは非常に難しい。
ほんの僅か和音をずらしてみたり、ペダルの踏み替え方を変えてみたり、強弱やテンポや音の間合いを工夫してみたり、この数ヶ月、限りなく攻めてきた。毎日何度も繰り返して3か月も向き合ってきたのだが・・
今夜、曲の方から俺に靡いて来た。ショパンがやっと微笑んでくれた。俺は、やっと高天ケ原に辿りついた。
誰に聞かせる訳じゃない。だからこそかとも思う。自分の人生だって同じだ。誰が評価する訳じゃない。だからこそなのだ。だからこそ、自分で自分の気に入るまで徹底して追求したい。多くは望まない。何かのため、誰かのためではなく、自分が心から納得するためだ。
不毛の愛。
不毛の魂を孤独に浄化するため。
そう思う事で人生は楽しくなる。
エブリスタで静かに無冠の風来坊を愉しむことも悪くない。
タダで読めるから、プロじゃないから、教訓もなく、風のようにヒューヒューと吹き抜ける不毛の作品。
誰もが気楽に突っ込んで笑い、泣き、好きなように感動し、通り過ぎていく。
通り過ぎても、また振り返ってくれる人もいる。気楽に感想を語り合える限られた大切な仲間たちと、和気あいあい過ごす豊潤な時間は俺の命を温める。
不毛の愛、不毛の魂、を恐れず、これでもかとプライドの引っ掛かりを削って堂々と谷底を闊歩すれば、水は必ず低いところに流れてくる。
柔らかな大地となり水を吸収するもよし。
ゴツゴツした石になり水を流すもよし。
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